未来への持続可能なデザインを求めて[サステナブル編]
家づくりの最前線で活躍するプロを訪ね、これからの家づくりにあらかじめ知っておきたい考え方や基礎知識をうかがう取材シリーズ。
目次
今回ご登場いただくのは、札幌市で「価値ある住まいづくり」に取り組む(株)スター・ウェッジの代表を務める横田知朗さん。脱炭素社会の実現に向けて、建築会社に求められる「サステナブルな住まいづくり」について、その思想を具現化した常設モデルハウスを舞台に語っていただきました。

代表取締役
横田 知朗さん 札幌市生まれ。ゼネコンで15年間、現場の施工管理に携わりながら一級建築士の資格を取得。札幌の建築会社勤務を経て、2012年にスター・ウェッジを設立。ライフスタイルプロデューサーとして、豊かな暮らし方を提案している
変化し続ける環境に呼応する持続可能な住まいづくりを
地球温暖化によるさまざまな問題が浮き彫りになっている中、その解決に向けて、日本でもサステナビリティ(持続可能性)という概念をものづくりに取り込む動きが広がり、さまざまな業界でイノベーションが進むといわれています。中でも、建築業界は世界のCO2排出量の約4割を占め、住宅の省エネルギー性能の向上、脱炭素化が大きなテーマになっています。
これからの住まいのデザインは、美しさや個性の追求にとどまらず、持続可能かつエシカルであることが求められます。その中枢を担う建築家は、既存の価値観を覆す技術革新や最新のテクノロジーにも敏感でなければいけません。多角的な視点で性能向上に役立つ技術や環境に配慮した設備を吟味し、エビデンスの有無をしっかり確認したうえで住まいの提案をしていくことがますます求められるようになるでしょう。
スター・ウェッジでは、そうした考え方を住まいづくりで実践すべく、2021年からCO2排出量が少なく、優れた省エネルギー性能を発揮する「認定低炭素住宅」と150㎜断熱を標準仕様とし、より高い省エネ性が実現できる200㎜断熱のオプションも用意しています。長く住み続けられる建物を実現することで、直接的にCO2削減に寄与できます。高い性能スペックに加え、カーボンニュートラルの実現の力強い推進力となるさまざまな試みを提案に盛り込んでいます。
人と地球への配慮を体感できる常設モデルハウスを公開中
スター・ウェッジでは2022年から、「建てるごとに地球環境が良くなる」をテーマに、環境負荷を減らし、未来の地球に貢献する提案を随所に盛り込んだ常設モデルハウスを公開中です。
札幌市中央区の幹線道路に面する約69坪の敷地に立つこのモデルハウスは、4人家族の暮らしをイメージした都市型コートハウス。アイランドキッチンが主役のダイニングと、大きな吹き抜けのあるリビングが緑豊かな中庭を囲む開放的な居住空間を1階に設えました。造作の鉄骨階段を上れば寝室や書斎、さらにその上にペントハウスも設え、日常の中で季節の移ろいを身近に感じられる住まいを実現。これまでのスター・ウェッジらしさは大切にしながら、流行に左右されないよりシンプルなデザインに徹し、世代を超えて長く愛される住まいを目指しました。
建築資材や内装にも、持続可能な材料・製品を使うことを意識しました。例えば、玄関ポーチの外壁にはリサイクル率60%のスレート板SOLIDOを、キッチンや水まわりの床には再生タイルを採用。アイランドキッチンには、倒木を利用した集成材を天板に用いたダイニングテーブルを横付けしました。このほか、自然塗料オスモカラーで仕上げた道産材の外部ルーバー、木製玄関ドアや高い断熱性を実現する木製サッシ、天然壁材のドイツ本漆喰のプラネットウォールなど、人にも地球環境にも配慮したエシカルな素材を選び、環境価値の高い空間をつくっています。
再生可能なエネルギーを無駄なく生かせる住まいに
「サステナブル」と「カーボンニュートラル」を両輪にした常設モデルハウスのプランづくりでは、日々消費されるエネルギーも見つめ直しました。
暖房や給湯には空気中の熱エネルギーを有効活用し、電気使用量を大幅に削減するヒートポンプ器機を使うスマート電化を採用。風力・水力発電などの再生可能エネルギー電源由来の電気のみを使い、CO2排出量を実質ゼロにするプランを導入しています。通常料金に3%上乗せした電気料金を払うこのプランは、プレミアを払って環境価値を買うというもの。持続可能な住まいづくりの提案の一つとして採用しました。
そしてその大切なエネルギーを無駄遣いしないよう、モデルハウスには、省エネ性の高いZEH oriented基準の性能を備えました。ランニングコストが圧縮できる住宅性能を確保した住まいは、安定した室温で躯体が保存され続けるので、構造の傷みも最小限に抑えられます。さらに熱源を電気にしたことで複雑な配管がなくなり、修繕やリノベーションがしやすいことも大きな利点。適切なメンテナンスを定期的に行うことで長く快適に住み継ぐことができ、将来的に価値ある住まいとして高く評価されると考えています。
スター・ウェッジはこれからも持続可能なデザインに基づいた住まいづくりを追求し、実現する地域の建築会社として、新しい挑戦を続けていきます。
Case.1 YU-GO
玄関を入るとすぐに、間接照明を設置したガラスフェンスの片持ち階段が存在感を放つこの住まい。1階には書斎を設けており、愛車を愛でながら仕事や読書ができます。2階に上がると、開放的な吹き抜けリビングのカーテンウォールから公園の緑が飛び込み、室内にいながら四季の移ろいを存分に楽しめます。木を張ったテレビ背面の壁はリビングに温かみを添え、裏にある水まわりとウォークインクローゼットとは、プッシュプルタイプの隠し扉でつなげることでLDKに生活感を持ち込まないように工夫しました。
Case.2 MAN-KITSU
都会的な表情を見せるグレータイルとガラスのファサード。家族が集う2階リビングは、天井まで伸びる大きな窓と遠近感が美しい木製ルーバーの勾配天井が圧倒的な開放感をもたらします。モノトーンとニュアンスカラーの落ち着いた室内には、キッチンハウスのアイランドキッチンをはじめホテルライクな造作風呂や遊び心のあるトイレ、ボルダリングの壁を取り付けたトレーニングルームなど見どころがたくさん詰まっています。
Case.3 TOMOSHIBI
藻岩下のレストランや教会を通り抜けるとお目見えする、綺麗なフォルムの住まい。玄関の視線の先では、白御影石がお客様を出迎えてくれます。ライティングとデザインで魅せる階段がペントハウスまで続き、夜には街を明るく照らします。その温かい光に、通りを歩く人は、家族の笑顔を想像することでしょう。ホテルのようなバスルームと洗面スペース、各部屋をさりげなく彩る間接照明など、細部にも気が配られています。1階にはバレエのレッスンルームも備えられており、こだわりの詰まった洗練された家となりました。
- 株式会社スター・ウェッジ
- スター・ウェッジの家には、 決まった「カタチ」がありません。 多様化するライフスタイルに柔軟に対応し、 住まう家族それぞれが「心地よい」と 感じる空間を構築すること。 既成概念を払拭した先に見える 自由な発想を大切にすること。これらの考えを表す “新しい価値を創造すること”をポリシーとして、 私たちは日々家づくりに向き合っています。 先人たちが培ってきた建築技術が叶える “冬も夏も快適に過ごせる高性能住宅”をベースに グローバルな視点をもった現代の感覚や解釈を融合。 スター・ウェッジは、 住まう人にとっての新たな価値を創造し、 “未来を見据えた家づくり”を目指します。
- 対応エリア
- 恵庭市、札幌市、北広島市、道央、石狩市、中央区、苫小牧市、北区、東区、白石区、豊平区、南区、西区、厚別区、手稲区、清田区、小樽市、江別市、千歳市

