暮らしと地域を豊かにする高性能な家づくりとは[超高断熱高気密住宅編]

公開日:2025.9.24 最終更新日時:2025.9.16

家づくりの最前線で活躍するプロを訪ね、これからの家づくりにあらかじめ知っておきたい考え方や基礎知識をうかがう取材シリーズ。


室蘭、登別、伊達、苫小牧など胆振地方で、「心地よさの正解を建てる」をコンセプトに住宅を手がける住まいのウチイケ。24年にわたって住宅性能を追求してきた同社の内池秀光社長に、住宅性能がもたらす暮らしの豊かさについてお聞きしました。


(株)住まいのウチイケ 代表取締役
内池 秀光さん

室蘭市出身。1995年より建設現場で経験を積み、2001年に株式会社住まいのお手伝い(現 住まいのウチイケ)の代表取締役に就任。暮らしの心地よさを追求し、確かな技術力と実績で長く住み継がれる高性能住宅を提供している。一級建築士、宅地建物取引士。

24年の経験の実績が証明するトップレベルの性能数値

住まいのウチイケが高性能住宅に本格的に取り組み始めたのは、2001年、今から24年前のことです。きっかけは、他社との差別化を図り、自社の強みを確立するためでした。

「せっかくならトップレベルの性能を目指そう」と、耐震性や断熱性など、すべてにおいて高い水準を追求。W断熱工法や、当時はまだ珍しかったトリプルガラスを採用し、胆振管内で初めての住宅性能表示住宅としてモデルハウスを建設しました。性能表示制度は、共通のものさしで住宅を比較できる“通信簿”のようなもの。お客様に性能の違いを分かりやすく示せるうえ、安心感や信頼感にもつながります。新聞にも取り上げられるなど大きな反響を呼び、私たちの家づくりは少しずつ注目を浴びるようになりました。

モデルハウスで実証した性能数値を標準仕様にして、私たちはより高性能な家づくりを追求。ある新築のお客様からは、「我が家だけ、周りの家より灯油の減りが半分以下なんです」と喜びの声が届き、私たちの方向性が間違っていなかったと確信しました。当初の目的は「自社の強みづくり」でしたが、次第に地球環境問題や二酸化炭素削減といった、住宅会社としての使命や社会的意義を強く意識するようになりました。

2014年には初のZEH住宅を建築。現在は平均UA値「0.19W/m²K」、C値「0.30㎠/㎡」の数値を維持するZEH仕様が弊社の標準です。全現場では気密測定を実施。その結果を順位表にして施工チームの意識向上を図りながら、高性能住宅への追求を今もなお続けています。

ZEHによるメリットと真の高性能住宅とは

地球環境への配慮、光熱費の削減、資産価値の高さ、そして一年を通しての快適さ。ZEHは単なる省エネ住宅ではなく、経済的・環境的・生活的な多面的メリットをもたらします。近年は蓄電池を導入する方も増え、創電への関心の高まりも感じています。

ZEHの実現には、大前提として高断熱・高気密があります。性能を上げるには、断熱材を厚くするだけではなく、隙間なく施工することが重要です。コンセント周りの隙間にコーキングを施すなど、小さな技術の積み重ねと、現場の人間による高い意識の上に成り立つものです。

私たちが大切にしているのは、性能を追うあまりデザインを疎かにしないこと。窓を小さくしたり、建具を増やしたりと、叶えたかったデザインを諦めて、数値を高めたとしても、果たしてそれが理想の住まいといえるでしょうか。創意工夫を尽くすことによって、大きな吹き抜けや大開口があったとしても高い数値を維持することは可能です。

私たちが考える〝超高性能〟とは、数値上の性能だけではありません。断熱性や気密性がもたらす温熱環境の快適さに加え、理想を叶えるデザイン、暮らしやすさ、居心地の良さといった「体感としての快適さ」を含めた総合的なものです。性能とデザインの両立こそ、真の高性能住宅だと考えています。家づくりを検討される際は、数値だけでなく、自由度のある提案がなされているかどうかも、会社選びの基準にされることをおすすめします。

目標はZEH住宅が立ち並ぶ「創電型」のまちづくり

高い住宅性能を誇るZEH住宅は、丈夫で長持ちし、暮らしの安心を長い年月にわたって守ってくれる。さらにデザインにもこだわり抜くことで、流行に左右されず、世代を超えて愛される住まいとなります。

そしてもうひとつ、忘れてはならないのが経済的なメリット。生活していく中で必ず発生する光熱費を大きく抑えられるため、毎日の暮らしにゆとりを生み、将来にわたって家計を助けてくれます。

こうしたZEH住宅の普及は、私たち住宅会社にできる最大の社会貢献だと考えています。現在、住まいのウチイケでは45区画の造成地を手がけており、当社の家が並ぶエリアも誕生しました。私たちが次に目指しているのは、ZEH住宅が立ち並び、各家庭が自らエネルギーを生み出しながら使う「創電型」のまちづくり。エネルギーを地域内で循環させることで、街全体が自立し、災害時にも強い、持続可能な地域社会を実現できます。CSR(企業の社会的責任)にとどまらず、地域や社会と手を取り合い、新しい価値を生み出すCSV(共通価値の創造)の活動にも力を注いでいきたいと考えています。

住まいは、単なる「箱」ではなく、重要なインフラのひとつ。家族の物語があり、日々の暮らしを支える機能があり、そして地域を活気づける力を持ちます。ZEHのような超高性能住宅は、環境への負荷を減らすだけでなく、まちの未来を形づくり、人々の暮らしをより豊かにする可能性を秘めています。私たちは、その可能性を一軒一軒の家から、まち全体へと広げていきたいと考えています。

Case.1 伊達市・Tさん宅

格子窓や階段下のヌック、アーチ状の壁や腰壁のモールディングなど、デザインのこだわりを実現しながら、住宅性能も妥協せずつくり上げた住まい。全館空調でどの部屋も同じ温度という快適さに加え、エアコンが見えないという点も気に入っていると奥さんは話します。

Case.2 登別市・Tさん宅

登別市内の住宅街にある角地に立つ住まい。道路に面した北側は開口を絞り、LDKのある南側はダイナミックに開いていますが、ZEH+全館空調で快適性も確保されています。1階は水まわりとLDK、2階は階段ホールを活かしたフリースペースと個室群で構成。グレージュを基調にしたシンプルなカラーでまとめ上げ、床は無節の無垢材を上下階に採用した上質な空間です。

Case.3 苫小牧市・Kさん宅

バイク好きのKさんが希望したのは、愛車を眺めて暮らすインナーガレージのある家。LDKは広い玄関ホールを介してガレージとつながり、カバの無垢床、レンガ、タイル、ステンレスなど、「アメカジ」をキーワードに多素材でまとめ上げました。太陽光発電パネルを搭載し、蓄電池も導入したZEH+仕様で、経済的な暮らしも実現しています。

会社情報
株式会社住まいのウチイケ
住まいのウチイケは北海道の室蘭、登別、伊達、苫小牧など胆振地方で、「心地よさの正解を建てる」工務店です。胆振に根ざし見つめてきた自然環境への深い知識、研究と挑戦、あくなき探究心と共に培ってきた確かな技術、積み重ねてきた実績の中で可能にした多様なデザイン、そして完成した後もずっと頼りになる関係性。胆振で一番快適な家づくりを目指すプライドで、世代を超えて住み継げる価値ある住まいをご提供します。
対応エリア
札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、室蘭市、苫小牧市、登別市、伊達市

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